漫画大好き縁田ちゃん

📖漫画オタクの漫画紹介ブログです📖

『〝建物にまつわる怪異〟を解決してくれる、営繕屋さんのお話』【営繕かるかや怪異譚】[あらすじ・漫画紹介・感想]

原作・小野不由美さん
漫画・加藤和恵さん
【営繕かるかや怪異譚(続刊不明)】

 

  はじめに

毎年皆さんは、お盆時期をどのように過ごされていますか?
 
いつもと変わらない生活・ご旅行・お出かけ・ゆっくり・帰省…。
 
私は小さい頃から田舎へ帰省する事が多いです。
 
少しずつ昔から伝わってきたことをしなくなり、新しい過ごし方に変わっていく中で、今でも昔からの風習や言い伝えが1番残っているのは『お盆』ではないでしょうか?
 
室町時代から徐々に広まり、江戸時代に定着したと言われる『迎え火』『送り火』『お盆には川や海の水辺には行かないほうがよい』という言い伝えなど
 
冥土と浮世が繋がる
 

〝ご先祖様を供養する行事・お盆〟

 

ならではのお話や風習は、地域や家庭ごとによって異なることもありつつ、受け継がれてきました。

 

本日ご紹介する『営繕かるかや怪異譚』は、小野不由美先生の原作小説『営繕かるかや怪異譚シリーズ』をもとに、青の祓魔師(エクソシスト)の作者・加藤和恵先生が作画を担当された〝コミカライズ作品〟です。

 

人の気配を身近に感じることができる特別な期間・お盆にもピッタリな、どこか不気味で背筋がヒンヤリしちゃう怖さの中に温かさと優しさ、家族の繋がりが描かれた『建物にまつわる怪異なお話』が沢山掲載されています。

 

(原作小説はまだ読んでおりませんで、こちらでは漫画のみのご紹介・感想となっております。ご了承くださいませ🙇)
 

  気になるジャンルは?

  • 怪談・ホラー
  • 短編集・オムニバス
  • コミカライズ
  • 建築エンターテイメント・営繕屋さん
  • ヒューマンドラマ
  • 家族・大切な人・友人
  • 家・建物
  • 妖怪・あやかし
などなどです📖🔨

  登場人物紹介

営繕屋・尾端(おばな)🔨主人公
 
霊能者ではないので、直接〝何か〟を見たり聞こえたり、不思議な出来事に遭遇はしない。
 
その建物に住んでいる人や、関わりのある人々から話を聞き、死者・生きる者どちらにも寄り添い
『〝触りになる疵は直す〟
〝残していい疵は手当して残す〟』
それが仕事の
ただの大工さんです!
(ちなみに表紙の素敵青年が尾端さんです😆😆たまらん!)

 

サムネイル
 

営繕とは───

    • 営繕(えいぜん)
      「営」は営む、「繕」はつくろう=修繕する、という意味で、合わせると 建物や施設を営み、修繕すること(建築や補修全般) を指します。

      行政機関などでも「営繕課」という部署があり、庁舎や公共施設の維持管理を担当しています。

  • 営繕屋
    職人や業者を少し口語的に表した言葉で、
    『大工さんや左官さん、内装屋さんなど、建物の修理・補修・改修・維持を引き受ける職人さんや業者さん』のことです。

  •  

    建築工事           建物の新築、増築、改築、修繕、模様替えなど。

     

  • メンテナンス          保守:屋根や外壁の防水・塗装、設備の点検・修理など、建物や設備を長期的に維持する。

使われ方の例

    • 「あの人は営繕屋さんだから、壊れた戸や雨漏りをすぐ直してくれる」
    • 会社や役所でも「営繕担当」がいて、建物・設備全般のメンテを行う。
  • 小説やドラマなどでも「営繕屋さん」が登場する作品があります😊

 

  営繕かるかや怪異譚あらすじ

第一話『奥庭より』〜第六話『檻の外』が掲載されています。

 

 
『─────また開いている
 
確かにゆうべも閉めたのに
 
何度閉めても開く
 
まるで〝あかずの間〟だ』
 
古い建物だから
小動物でも出入りしているのかも
 
「知ってる?
奥庭にお化けがでるんだって」
 
昔誰かに聞いた話を思い出す
 
他に親族が居なかった叔母の家を継いだけれど、本当はこの家が好きじゃない
 
どうして継ごうなんて思ったのだろう───。
 
引っ越しの片付けも、遺品の整理も終わってしまった
 
残るのは〝あかずの間〟だけ
 
ずっと叔母に近づくなと言われていたから
何が置いてあるのかもわからない…
 
勇気を出して開けてみる
 
何も無い
物も
家具も
窓も
何1つない
どの部屋よりも手入れされた〝あかずの間〟
 

  おわりに

小野先生の原作小説を知らず、本屋さんで見つけて表紙買いをしました。
 
全くの前情報なしで読みはじめたので、尾端さんの〝怪異の解決方法〟が今までに見たこと無い方法でしたので、おぉ!!とすぐにハマってしまいました!
 
ただの怪談ではなく「人と建物」「過去と現在」「生者と死者」の間をやわらかく繋いでくれるような物語です。
 
〝何か〟〝怪異〟〝不思議な現象〟などが出てくる作品は、漫画だけでなく様々な形で出会ってきましたが、〝お祓いする〟〝対話する〟〝追い祓う〟〝見えないふりをする〟〝逃げる〟などなど、沢山の方法がある中で、尾端さんは新しい怪異との向き合い方を教えてくれました。
 
尾端さんは霊能者でも祓い屋でもなく、あくまで営繕屋=大工さんという立場。
 
だからこそ、不思議な出来事や怪異に対して真正面から戦ったり祓ったりするのではなく、〝そこにいる人のこと〟と〝生きている人の生活を整える〟という視点で寄り添う姿がとても印象的でした。
 
怪異譚というと
 
『怖い』『なんだか近寄りがたい』
 
というイメージもありますが、この作品では恐怖の中にどこか温かさや切なさが混ざっていて、一話一話、問題や悩みは全然違うのに、胸がじんわりするような余韻が残ります。
 
『疵を直す』『残していい疵は手当して残す』という尾端さんの言葉は、建物だけでなく人の心にも当てはまるようで、読んでいるうちに自然と過去の思い出や亡くなった人の存在を思い返してしまいました。
 
また、短編集形式でどのお話も一話ごとにまとまっているので、とても読みやすいです。
 
それでいて共通するテーマが流れているので、どのお話もバラバラではなく、しっかりと『営繕かるかや怪異譚』という世界に繋がっているのもこの作品の魅力の1つだと思います。
 
加藤和恵先生の絵柄は、青の祓魔師のような迫力ある画力と、人物の柔らかい表情の両方を兼ね備えていらっしゃり、怪異の不気味さと、何かわからないモノへの恐怖、そして生きている人々の優しさや温かさがシーンごと・人物ごとに丁寧に描かれていました。
 
特に〝何かわからないけれど怖い…、勘違いであってほしい…〟という人の心理描写はめちゃわかるのでとにかく怖いですし、そのあとに登場してくれる尾端さんの落ち着いた雰囲気や、人々の心に寄り添うまなざしの安心感は半端ないです(笑)
 
お盆の時期に読みかえしたので
『やっぱり昔から伝わる風習や言い伝えには意味があるんだな』
と改めて考えさせられました。
 
ホラーが苦手な方でも、怖いだけではなく〝人の気持ちに寄り添った怪異譚〟として安心して読めると思いますし、逆にホラー好きの方には〝ただの怖さで終わらない深み〟が楽しめるはずです。
 
続刊が出るかはまだわからないですが…
 
またいつの日か小野先生と加藤先生の最高タッグで
尾端さんのその後の活躍や、建物と人にまつわるさまざまな物語を読める日がきますように…🌠
 
 
本日もお立ち寄りありがとうございました🙇✨