みやうち沙矢さん
【DOG SIGNAL11巻(ドッグシグナル)】
あらすじ・漫画紹介/感想です📖🙋
はじめに
11巻には、動物と共に暮らしている人だけでなく、一人でも多くの人たちに動物達に酷い事をして〝お金を稼ぐ悪徳ブリーダー〟のことを知ってもらい、いつかこんなにも悲しい事を描かなくてよくなる未来を願う、先生の想いが込められています。
ニュースやネットで度々目にする『ブリーダー崩壊』『多頭飼育崩壊』。
実際の写真や映像は、目を覆いたくなるほどの酷い現場ばがりです。
ニュースではたくさんの人の目に入るため、恐らくその中でも配慮されたものが使われていると思いますが、それでも動物達の悲しく苦しむ声が聞こえてくる酷さの写真ばかり…。
頭のどこかではわかっていても、本当の事を知りたくないかもしれません。
それで良いのでしょうか…。
動物を飼っていなければ、自分には関係ない事でしょうか…。
愛犬を愛し、いつも犬たちの幸せを考えている先生が、このストーリーを描いていたときの苦しさや悲しみは、私達読者が少しずつ一緒に背負えたら、共に幸せになれる動物たちが一頭でも増える。
私もそう信じています。
11巻あらすじ
【第45話】〜【第48話】まで掲載されています📖
いつもニコニコちょっと変わり者の〝のすけ先生〟こと久宝鈴之介先生は『のすけクリニック』の獣医師・医院長さんです。
丹羽さん・律佳さんとは同じ動物専門学校に通っていた同期で、卒業後も3人それぞれの道を極めながら、いつも助けあい沢山のワンコ達🐶を救ってきました。
丹羽さんのトレーニング教室の飼い主さん達にもめちゃくちゃ信頼されており、凄腕の獣医師先生です。
そんなのすけ先生が丹羽さん・律佳さんに出会う前、二人も知らない過去のお話…。
以前から犬の危機には自分の命は二の次で助けに行き、大怪我を負ってきたのすけ先生。
丹羽さん、律佳さんに何度怒られてもニコニコしているだけ…。
サンジュくんの散歩しがてら、のすけクリニックに遊びにきた未祐くんが目にしたのは
『ブリーダーが夜逃げをして酷い環境に置き去りだったところを、レスキューされた犬たち』
でした。
丹羽さん・律佳さんも来ており、未祐くんも一緒に手伝います。
〝ブリーダー崩壊〟の現場にいたのは150頭の犬たち…。
4人は苦しむ犬たちに心を痛めます。
休憩なく診察を続けるのすけ先生を気遣う3人に
「僕の命なんてどうでもいい」
いい機会だからと、過去のことを話始めました。
のすけ先生はそこそこ裕福な家庭で育ち、お母さんは趣味で〝トイプードルの犬舎〟を楽しみ、自分で犬たちのお世話をし大切に育てていました。
数匹の子犬たちといつも遊ぶのすけ先生は、お母さんから躾やお散歩を教わりお世話をお手伝いしています。
大切な犬たちの健康診断に連れて行っていたのが、のすけクリニックで、のすけ先生は〝元祖のすけ医院長〟。にいつも可愛がられていました。
飼い主さんに寄り添い、時には厳しく時には優しい…。
ペットの幸せを一番に考える先生を目標に、自分も獣医師になると決めたのすけ先生。
そんな幸せなある日、
母親から
〝ブリーディングに本腰を入れるため、隣の市に大きな犬舎を建てた〟
と言われます。
一番かわいがっていたハート模様の『ナナちゃん』も連れていかれ、忙しく犬舎に泊まることが増えた両親とはあまり会えない生活に…。
のすけ先生は犬舎から連れて来られた子犬の躾・お世話と、のすけクリニックの手伝いが日課となりました。
いつものように昔からの犬舎の従業員下村さんが、のすけ先生に子犬を届けにきました。
以前は優しく明るかった下村さんですが、ここ最近はやつれてのすけ先生は無視をされています。
のすけ先生の夜ご飯代と下村さんが預かってきた〝一万円〟。
そしてのすけ先生からお茶でもと用意された〝高級クッキー〟。
何かの糸が切れたように
「呑気なもんだね鈴くん」
「あんたの
この生活のために
どれだけの犬が━━」
一度犬舎に行って〝冷凍庫をあけてみろ〟
私は今日で辞めるから…。
そう言い残し、1枚のチラシを手渡されます。
一体何が起きているのか…。
チラシを頼りに両親がいる〝隣の市の犬舎〟へと向かうのでした━━━━。
おわりに
いつもの感じでワクワクしながら読み始めた11巻。
のすけ先生の過去編楽しみだなぁと呑気に始めページをめくっていましたが、〝ブリーダー崩壊〟の当事者だったとは思ってもみませんでした。
のすけ先生は何も知らなかったし、両親が全て悪い。
けれど、何も知らずのうのうと命の犠牲の上で裕福な生活をしていた事実は、消せなくて苦しくて…。
のすけ先生の心はあの時一度、死んでしまったんだと思います。
全部全部自分一人で背負い込んで。
自分が悪いと今まもこれからも、ずっとずっと自分を責めて…。
せめて心だけでも殺さないと、高校2年生にはとても受け止められることではないです。
大人だって無理ですから…。
早くから〝のすけ先生の両親の犬舎の現状〟を知っていたはずの元祖のすけ先生の
「子犬に罪は無いから」
は子犬達・のすけ先生への言葉だったのかもしれません。
親の犯した罪は親の罪━━
子どもには罪は無い━━━
小さな頃から犬達と暮らし、弟妹としてかわいがってきた犬達の傷ましいおわかれ。
どうしてあんなに酷い事ができるのでしょう。
お金に心を売り、心を手放した両親は自分が痛く苦しいわけじゃないからとどんどんエスカレートしてしまったのか…。
のすけ先生のつらい過去が漫画の中の出来事なら、どんなによかったか。
現実ではもっともっと残酷で酷いことが行われていて、崩壊現場は地獄で年間何万もの動物達が命を落としています。
いつも犬たちの幸せのため、問題解決へのヒントを描いてくださっているみやうち先生。
ダメなのは犬ではなく〝飼い主〟であると、飼い主に寄り添いベストを尽くす丹羽さんは、もう1人のみやうち先生の姿だと思っています。
そんな先生の11巻あとがきは、漫画の内容よりも私は読むのが悲しかったです。
こんな悲しいことなんて描きたくない、けれど大好き犬たちの幸せのため無視はできない。
逃げてはいけない現実。
描きながら自分に問いかけ、苦しんだ先生の当時のことが書かれています。
かわいいウルソン先輩やサンジュくんを描いている、犬大好きな先生が悲しい犬たちの姿を描かなければならない…。
こんなに辛いことないです。
みやうち先生が命を込めて描いてくださったこのお話は、動物たちの命を救う何かのきっかけになるかもしれない。
のすけ先生を大好きな、元祖のすけ先生に助けられた〝のすけ先生の命〟は、のすけ先生を大好きな丹羽さんたちから〝のすけ先生の生きる心〟を贈られました。
みやうち先生、DOG🐶SIGNALの皆の〝動物を想う心〟が、もっともっと沢山の人に届きますように…。
本日もお立ち寄りありがとうございました🙇✨